言葉は場数 <言葉は魔法・002>
星野廉
2020/11/30 08:01
言葉は魔法。
言葉は魔法瓶。
言葉は麻婆豆腐。
言葉は妄想。
言葉はノイズ。
言葉は鳥。
言葉は翼。
言葉は海。
言葉は海原。
言葉は劇場。
言葉は銀河。
言葉は夢。
言葉は愛。
言葉はAI。
言葉はめだか。
言葉はクジラ。
言葉は歌うクジラ。
言葉は空飛ぶ鯨。
*
こういうふうに遊んでみるとイメージが膨らんでわくわくしたり、不思議な気分になったり、懐かしいタイトルがふいに浮かんだり、邪念がよぎったり、ときには軽い目まいを覚えたりすることもあります。ひとりでやるブレーンストーミングとか頭の体操みたいですね。ある意味、ナンセンス。意味なし。連想ゲーム。脈絡なんてあるようでない。自動筆記。オートマティズム。ゆめうつつ。あとはおぼろ、あとはおぼろ。
脈絡なんてあるようでない。ある意味、ナンセンス。オートマティズム。
言葉は無意味。
言葉は意味。
言葉は忌み。
言葉は異味。
言葉は連想ゲーム。
言葉はオートマ。
言葉はシャーマン。
言葉は巫女。
言葉は巫女の舌。
言葉は巫女の舌にとまる小鳥。
その言葉が巫女の舌にとまった八月のある日、村で三人の子どもが生まれた。
詩作やコピーライティング(宣伝文句)の現場でも、小説の執筆の際にも、こうした言葉の入れ替えの作業を無意識あるいは意識的にやっているのかもしれません。あ、駄洒落やオヤジギャグもそうです。これは日々切実にそう感じます。パラディグム(範列)とサンタグム(連辞)なんてややこしい用語が頭に浮かびましたが、その意味は忘れました。ただ漠然としたイメージは覚えていて、上の言葉の連なりでいうと、縦の文字列が範列で、横に延びる言葉の連なりが連辞だったという気がします。こういう難しそうな言葉を見ると、眠くなりそうです。むずい。むずむず。
*
Zzz……。
うとうとしかけたみたいで、こんな言葉が浮かびました。と言うか、やって来ました。
芸術は爆発だ。
目が覚めました。
言えてますね。懐かしい映像。かの、岡本太郎氏です。かつては、いまの加藤一二三さんのような立ち位置でテレビにちょくちょく出ていらっしゃいました。このCMをテレビで見た時に、俊抜な広告の文句であるだけでなく、これは短い詩だもと思いました。これの別バージョンがあって、それは「芸術は場数だ。」だと聞いたことがあります。真偽のほどは不明ですが、言えてませんか? 場数を踏むのが芸術だなんて、シュールだし、批評性が感じられるし、CMのコピーへの毒気のある返句みたい――。感心したのを覚えています。
言葉は爆発だ。
言葉は、どかーん!だ。
言葉は土管だ。
言葉は導管だ。
言葉は管だ。
言葉はTubeだ。
言葉は爆発だ、なんて素敵ですね。現代詩にあってもおかしくないフレーズではないでしょうか。言えてる気がします。言葉を使うと何とでも言えます。こういうと、励まされませんか。何でも言えるんですよ。頼りになりますね。私を含めて言葉で悩んでいる人たちにとって心強いメッセージではないでしょうか。連想ゲーム式に言葉を呼び寄せましょう。
言葉は友達。
言葉は頼りになる友。
加美乃素は頼りになる友、今日この頃。
髪は長ーい友達。
漢字を使った脳トレクイズみたいですね。
カムバック!
*
私情をまじえ、乱れて失礼しました。何しろ、切実な問題なのです。
戻ります。今日のまとめです。
芸術は爆発だ。
芸術は場数だ。
言葉は場数だ。
これも言えてませんか? けだし至言ではないでしょうか。
小説は場数だ。
詩は場数だ。
俳句は場数だ。
短歌は場数だ。
エッセイは場数だ。
音楽は場数だ。
写真は場数だ。
絵は場数だ。
芸術は場数だ。
エンターテインメントは場数だ。
みなさん、せっせと場数を踏みましょう。精進、精進、火の用心。言葉は魔法。言葉は邪念。
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